サムライシンジの写真

私がメインで使用しているギターはシェクターのストラトタイプ。

19歳の時に中古で5万円で購入し、
かれこれ27年愛用している。

楽器屋で初めて見た時の佇まいは今でも覚えている。
楽器屋の隅にポツンとあった。
元々はピックガードも真っ黒で
手入れもされてなくて、くすんだ印象だった。
ボロいギターだった。
だから安いのかなと思った。

本当はfenderUSAのストラトが欲しかったのだが
19歳の私には高嶺の花。
金も無いし、本田毅さん好きだし、シェクターでもいっか。
てな具合で手に入れた。
新しいギターということで嬉しかったが、
これしか買えなくてしょうがなく買った感が強かったように思う。

なので、fenderへの憧れをずっと拭えなかった。
3年後、友人からfender USAのストラトを安くで売ってもらった。
fenderばかり弾くようになった私はシェクターをギターケースにしまっておいた。

そして、ほどなくして家が火事になった。
ほぼ全焼である。
消防士さんが二階の私の部屋の窓を突き破り、
消火している姿を見て、

終わった…

と思った。

翌朝、火の消えた家に入り、真っ先に自分の部屋に向かった。
全て黒焦げだった。
屋根は一部無くなっていて空が見えていた。

手に入れたばかりのfenderも、
時々弾いていたアコギも
初めて買ったギターも
お気に入りだったギターアンプも
エフェクターや録音機材、たくさんあったCDなどなど
全て灰になっていた。

シェクターは?
と、ギターケースを置いた部屋の隅を見た。

焼け焦げた厚手のソフトケースの上の部分からヘッドが顔を出している。

慌ててソフトケースをビリビリ破いた
火で炙られ水をかけられたギターは灰まみれだったが、
ボディやネックが焼けたような感じは無く、
再生できそうな雰囲気だった。
ソフトケースだったが頑丈で厚手のものだったのが良かったのかもしれない。

いつもお世話になっているスタジオのオーナーにお願いして修理してもらい、
なんとか再生して元通り使えるギターに蘇った。
キレイに掃除してダメになった部品を少し交換するくらいで済んだらしい。

それからまた数年して
念願のfenderカスタムショップのストラトを30数万円で手に入れた。
しばらくそれを愛用していたので、また出番が少なくなっていったシェクターだったが、
fenderの弦がスタジオ練習の当日切れたので、
たまたまシェクターをスタジオに持って行って弾いてみると、
メンバーもびっくりするくらい鳴った時があった。

ギターのほうもここぞとばかりにアピールしてきたのだろうか。笑
結局、その後のライブはシェクターを使う事にした。

それを機にまたちょくちょく使い始めるのだが、
これまた数年後、私は次にP-projectの本田毅モデルを手に入れた。
またまたシェクターとは遠ざかることとなる。

その当時、
自分にピッタリのギターはどれなんだ?
どこにあるんだ?
オレの音というのはどんな音なんだ?
と、探し続けていたように思う。
それはエフェクターやアンプに関しても同じ。
自分以外の物に求めていた。

結局P-projectの本田毅モデルは私にはしっくりこなかったので手放すことに。

数年後、音楽に一区切りして会社員になった時、
当時、6本あったギターの殆どを手放すことにした。

沢山持っていても弾かないのは虚しい。
もう音楽は趣味になったのだからと、
ギターを手放すことで音楽への情熱も手放したかった。

最後に迷ったのは
30万円以上したfenderか、
中古で5万円のシェクターか、
どちらかを手放すかということだ。

長年連れ添ってきたシェクターを残すと決めて
fenderを中古楽器屋に売った。

それから10年以上が経ち、YouTubeを始めることになるのだが、
視聴者の皆様もこのギターを愛してくれている。

19歳の時、ぼんやりした気持ちで手にいれたギター。

自分の音が出せる自分にピッタリのギターはどこにあるんだ?
歳をとったせいか今となっては探す気もなければ拘りもない。
今出た音が自分の音。

あっちがいいんじゃないか?
こっちがいいんじゃないか?
ホントにこれでいいのか?

迷っていては心がブレる。
心がブレたらプレイもブレる。

答えは結局自分の中にしかない。
自分の音というのはギターや機材にあるのではない。
私の音は私の中にあるのだ。